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三菱重工業長崎研究所耐航性能水槽における自由航走模型試験

海上輸送システム研究室 米舛勲

2012年9月3日〜7日,長崎市にある三菱重工業長崎研究所の耐航性能水槽を用いて,操縦運動特性を調査するための自由航走模型試験を行いました。その概要を報告します。

近年,船の輸送効率向上のため,船の肥大化が進んでおり,今では方形係数Cbが0.85の船も珍しくありません。しかしながら,船の肥大化が進むと,船の針路安定性が損なわれ,安全性に問題があることが知られており,どの程度までの肥大度であれば許容できるのか,今のところ明確な指針はありません。肥大度を系統的に変化させた場合の針路安定性に関するデータが取得されていないためです。そこで,昨年度,Cbが0.81,0.84,0.87と系統的に変化させた船を独自に計画し,縮尺模型船を作成しました。具体的な操縦運動を知るため,この3隻を用いて自由航走模型試験を行いました。陸上からのリモートコントロールにより,模型船のプロペラと舵を制御し,ジグザグに走らせるZig-Zag試験と,舵角一定で旋回させる旋回試験を実施しました。広島大学の水槽では,水槽幅が狭く,旋回させることができません。そこで,三菱重工長崎研究所耐航性能水槽を使わせてもらい,保針性能,旋回性能を調査しました。図1に試験で使用した模型船の1つを載せます。

図1: 使用した模型船の1つ

図2に三菱重工業長崎研究所耐航性能水槽の様子を示します。この水槽は長さ160m,幅30m,深さ3.3mもあり,水面の面積は広島大学水槽の6倍もあります。曳引台車の大きさにも驚きました。

図2: 長さ160m,幅30m,深さ3.3mの耐航性能水槽

図3に水槽試験の様子を示します。模型船のミドシップに取り付けられた光を曳引台車が自動的に追跡し,模型船の位置を測定します(光が見えやすいように,試験中は水槽の照明を落としているため,写真も暗いです)。曳引台車と模型船はプロペラと舵を制御するためのケーブルや,計測用のケーブルのみで,固定は一切ありません。これで,模型船は自由に航走できます。

図3: 水槽試験の様子(旋回試験,舵角-35°)

今回,三菱重工業長崎研究所での試験で,大学と企業の試験のあり方の違いなど,多くのことを学ぶことができ,大変良い経験になりました。貴重な経験をさせて頂いた安川先生,試験を手伝って頂いた平田先生,佐野先生,また,海上輸送システム研究室の中山さん,網井くん,山内くんに感謝します。三菱重工業長崎研究所のみなさんにも,大変お世話になりました。深くお礼申し上げます。ありがとうございました。最後に一生懸命,試験に励む平田先生と私の写真を載せて,終わりとします。

図4: 試験に励む私と平田先生(座っている奥が私,手前が平田先生)