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肥型船の操縦運動に及ぼすプロペラ直径の影響

海上輸送システム研究室 白井正幸

2015年8月30日〜9月18日,茨城県水産工学研究所の角水槽にて,平水中における肥型船の操縦運動に及ぼすプロペラ直径の影響を調査するための自由航走模型試験を行いました。その概要を報告します。

近年では,船舶の省エネ化のためプロペラの直径を大きくし,回転数を低くする大直径低回転化が指向されています。従来は,水槽試験において推進性能に及ぼすプロペラ直径の影響は無視できないものとされていますが,操縦運動に及ぼす影響はよくわかっていないのが現状です。そこで,プロペラの大直径化が船舶の操縦運動に及ぼす影響を調査しました。

最初に,平水中で自由航走模型試験を行いました。陸上のコントローラからのリモートコントロールにより,模型船のプロペラと舵を制御します。計測には水産工学研究所のジャイロとトータルステーション,また,広島大学のジャイロを用いました。ジャイロは模型船の回転運動,トータルステーションは模型船の位置を計測します。試験は,ジグザグに走らせるzig-zag試験と,舵を一定の角度で旋回させる旋回試験,また,プロペラを逆回転させ急停止させるStopping試験を実施しました。広島大学にある曳航水槽では,水槽幅が狭いため,旋回はもとより,ジグザグに航走させることはできません。そこで,水産工学研究所角水槽を使わせてもらい,プロペラの違いによる保針性能,旋回性能の違いを調査しました。図1に試験で使用した模型船と発射に用いるカタパルトを載せます。

図1: 使用した模型船とカタパルト

図2に水産工学研究所角水槽の全体の写真を示します。水産工学研究所の角水槽は長さ60m,幅30m,深さ3.2mあり,幅が広島大学曳航水槽の三倍ほどあるため,旋回試験などを余裕もって行うことができます。

図2: 水産工学研究所の角水槽

図3に水槽試験の様子を示します。陸上のトータルステーションで模型船に取り付けたプリズムを追跡することで模型船の位置を計測します。模型船から手元のパソコンへは無線でデータが送られるようになっており,模型船をケーブルなどに縛られず,自由に航走させることができます。

図3: 水槽試験の様子

現在,試験の解析中であり,船の操縦運動に及ぼすプロペラ直径の影響は顕著なのかどうか,慎重に検討しています。成果が出次第,報告したいと思います。

本実験開始時には不安でしたが,水工研寺田さん,松田さんの御指導のおかげで実験を進めていくことができました。大変感謝しています。また,実験に参加してくれた研究室の仲間達,本当にありがとうございました。最後に試験の解析に励む筆者の写真を載せて,終わりとします。

図4: 試験に励む筆者