研究室TOP > TOPICS > 2013/05/27

小瀬邦治先生が日本船舶海洋工学会賞(発明・開発)を受賞

広島大学名誉教授(現輸送・環境システム専攻)の小瀬邦治先生が,日本船舶海洋工学会賞(発明・開発)を受賞しました。同賞は,造船・海洋工学の分野で,画期的な発明・技術開発を行った人に与えられるものであり,この度,「大幅な燃費向上を達成した両頭型電気推進フェリーの開発」の功績が認められて,中谷造船の中谷敏義会長とともに,賞を授与されました。写真1は,平成25年5月27日,広島国際会議場で行われた授賞式で撮ったものです。

写真1: 中谷敏義会長(左)と小瀬邦治先生(右)
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小瀬先生は,近年我が国で建造されるようになった電気推進内航船の先駆けであるタンカー「千祥」,“スーパーエコシップ”の1番船でもある小型の両頭型フェリー「みやじま丸」の開発を行ってこられた,電気推進型内航船分野におけるパイオニアの1人です。この度,小瀬先生と中谷会長は,この分野における集大成とも言える両頭型電気推進フェリー「桜島丸」(その後,「サクラエンジェル」と改名,2011年3月に桜島航路に就航)を設計・開発し,電気変換ロスが問題となる電気推進船において,画期的なアイデアを考案・採用され,大きな省エネルギー(従来船に対し,15%以上の燃料節約)を達成しました。この成果に加え,受賞者等の電気推進型内航船の普及や性能向上の取り組みに対する長年の貢献が高く評価され,受賞に至りました。

下(写真2)に,受賞の対象となった電気推進フェリー「サクラエンジェル」の写真を示します。本船の開発にあたっては,広島大学の船型試験水槽が大活躍をしました。本船の推進性能,操縦性能を水槽試験で確認しながら,新しいアイデアの有効性ならびに船型の最適化を行いました。「サクラエンジェル」の開発においては,広島大学の貢献もわずかながらあったことをアピールしておきます。

小瀬先生,中谷会長,受賞おめでとうございます!

(文責: 安川宏紀)

写真2: 桜島をバックに航走する電気推進フェリー「サクラエンジェル」