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九州大学船舶運動性能試験水槽におけるコンテナ船の拘束模型試験

海上輸送システム研究室 八谷洋輔

2020年11月23日から12月1日にかけて,九州大学の船舶運動性能試験水槽をお借りしてコンテナ船の拘束模型試験を行いました。水槽試験の概要を紹介します。

図1に九州大学の船舶運動性能試験水槽の様子を示します。本水槽は長さ38.8m,幅24.4m,深さ2mを有する角水槽です。図1中央に見える模型曳引車は,副電車およびターンテーブルと組み合わせることにより,取り付けた模型船を東西南北,自由自在に運動させることができます。広島大学の曳航水槽と比較して幅が約2.5倍と広いため,模型船を大きく旋回させることができるのが特徴です。

図1: 船舶運動性能試験水槽(九州大学)

今回実施したのは,CMT(Circular Motion Test)と呼ばれる試験です。具体的には,前述の模型曳引車に模型船を取り付け,模型船を旋回運動させ,船体にはたらく流体力を計測します。試験は斜航角と回頭角速度を変化させて行い,約40点の全ての試験条件を2日ほどかけて計測します。広島大学の曳航水槽では実施できないような,旋回を伴う大きな運動は魅力的であり,迫力があります。実際の試験の様子を図2に示します。

図2: 試験の様子

水槽試験は決して一人ではできません。九州大学の茨木先生に加え,1週目は広島大学海上輸送システム研究室の奥田さん,2週目は同研究室の山下君にご協力いただきました。

茨木先生は計測や模型曳引車の運転に関して全日程でお世話になりました。慣れない場所での実験は分からないことが多く,不安もあります。そんな時に心の支えとなったのが温厚な茨木先生です。茨木先生とは,船に関することはもちろん,九州大学や福岡に関することについても話が盛り上がり,九州出身の筆者は郷愁をくすぐられました。奥田さんは模型船のセッティング,試験の準備等,水槽試験全般に関してサポートしてくださいました。奥田さんは誰もが認める水槽試験のスペシャリストであり,茨木先生が「あの動きはもはや学生ではない」と絶賛されていたのが印象的です。山下君も複数の遠征実験を経験し,鍛えられた頼もしい人材です。計測機器や模型船の片付けの際に大変助かりました。

心強い皆様のご協力のもと,無事に試験を終了することができました。試験最終日は大きな達成感を味わうとともに,チームワークの大切さを学びました。水槽試験に関しては筆者も未熟ですが,今後様々な経験をとおして,水槽試験や船舶に関する知識を広く,深く身につけたいと思います。

最後になりましたが,遠征の実験という貴重な体験をさせていただいた安川先生,水槽試験の準備に関してご協力くださいました平田先生,九州大学の角水槽を貸してくださり,計測に関してお世話になりました九州大学の古川先生,茨木先生に深くお礼申し上げます。また,海上輸送システム研究室の奥田さん,山下君に感謝申し上げます。最後に,試験最終日に山下君と食べた,九州大学の食堂のとり天定食の写真を載せて,終わりとします。筆者と山下君のお気に入りです。

図3: 九州大学の食堂で食べたとり天定食(安くてうまい!)