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KCSコンテナ船の操縦性能に関する水槽試験の報告

海上輸送システム研究室 沖林和幸

2025年11月10日から14日まで,茨城県神栖市の水産技術研究所の運動性能水槽にて自由航走試験を実施しました。今回は5日間という比較的短期間の中で,KCS(KRISO Container Shipの略)模型船を用いて,旋回試験,Zig-Zag試験,stopping試験,backing試験,その場旋回試験,Back-and-fill試験を行いました。図1に用いた模型船の側面図を示します。また,図2に旋回試験の様子を示します。

図1: 実験に用いたKCS模型船

図2: 旋回試験の様子

M2の先輩方のおそらく最後になるであろうという水工研遠征であり,また筆者を含めた学部四年生は頼りになる先輩方がいなくなるため,しっかりと引継ぎをしなければならず,気合いを入れて参加しました。そのおかげか今回の実験では特別大きな問題もなくスムーズに実験が進みました。ところが試験の終盤,プロペラを逆転させるBacking試験中に,模型プロペラが模型船から取れて,水槽に落とすという大事故が起きました。幸いにも,比較的短時間で落ちたプロペラを回収でき,またプロペラには損傷もなく,その後予定通りに実験を続けることができました。落としたプロペラを回収するにあたり,修士の先輩方の奮闘ぶりには,目を見張るものがありました。

さて,筆者はプロポ係を先輩から引き継ぐことになりました。プロポとは簡単に言えば,模型船を操るラジコンのことです。このプロポを用いて,計測の開始・終了の操作をしたり,模型船を実際に操縦したりするなど,プロポ係は重要な役割を任されています。ただ多くの試験では,船の操縦は完全自動で行われるため,プロポによるマニュアル操船は試験終了後に模型船を発着点に戻すという簡単なものしかありませんでした。ところが,今回の試験の中には,Back-and-fill試験という耳慣れない試験が含まれていました。Back-and-fill試験では,狭い範囲で船の向きを180deg変える特殊な操作を行います(図3参照)。

図3: Back-and-fill試験の概要

普通の操船では基本的にプロペラを逆転させることはあまりないのですが,この試験ではプロペラ回転方向を正転もしくは逆転と適切に入れ替え,舵を左右に頻繁に切る操船をしなくてはなりません。現在このような自動操船を行うことは困難なので,マニュアル操船による試験となりました。プロポ係の操船技量によって試験結果の質が左右されるプレッシャーのかかる試験です。その上,操縦ミスによる計測やり直しとなると,ほかの人達からため息が聞こえ,それが更なるプレッシャーとなります。今回熟練のプロポ操縦者であるM2の先輩と,ほぼ初心者の筆者が行った操作や航跡などの違いを比較するため,この試験をそれぞれ5本ずつ行いました。先に先輩の操作を見てコツを教えてもらい,特別な練習もなくすぐに本番でした。4,5回目あたりでようやくそれっぽい感じの航跡になりました。船の方向を変えた後にまっすぐ進ませるという操作が案外難しいのです。慣れた手つきでサクサクこなす先輩はすごいなあと思うと同時に,私のプロポ操作で,来年からスムーズな試験をやっていけるのか少し心配になりました。今後も経験を積んで一人前のプロポ係となるようにがんばります。

最後に,水工研遠征の楽しみについてご紹介します。いつもは遠征の最終日に犬吠埼灯台に行くのが慣例だったのですが,今回は趣向を変えて鹿島神宮に行きました。海の近くの神宮ということで随所に船とかかわりのあるものがあり,船の研究をしている身としてはとても興味深かったです。来年の9月には12年に一度の「御船祭り」というものが開催されるらしく,水工研での試験が来年9月に実施されるのなら,試験を無事に終えて,行ってみたいと思いました。図4,5に,そこで撮った画像を示します。

図4: 恒例の記念撮影

図5: 神々しい様子