水槽の設備
広島大学試験水槽では,船や海洋構造物を対象とした種々の水槽試験を行うことができます。
広島大学試験水槽棟(工G3棟) 全体図
(1) 曳航水槽
曳航水槽では,船や海洋構造物の模型を曳航電車で曳航し,走行中に模型の運動や模型に働く流体力が計測されます。
水槽の一端には波浪中での現象を再現するための造波機が備えられています。水槽の一部は10m幅と広くなっており,そこでは海洋構造物により適した試験を行うことができます。本水槽は,性能の優れた船舶の開発,性能の推定,安全な海洋構造物の開発に利用されています。
また,水槽の中央部には,昇降式の可動床があり,浅水域や水路での実験が行えるようになっています。河川を航行する船の性能把握,船の安全航行に関わる港湾・水路での水槽試験が可能です。
(2) 造波水槽
(構造物の津波衝撃の様子)
大型2次元造波水槽では,規則波・不規則波を忠実に再現できます。
プランジャー式造波機を備え,実海域に相当する重力波はほぼ網羅できます。最近,可変式の海底勾配装置が新たに取り付けられ,浅海域から深海域の広範囲に亘る波浪実験が可能となりました。津波中での構造物,大波高時の海洋構造物,海洋エネルギー利用に関わる研究開発等に使用されています。
(3) 回流水槽
回流水槽では,一方向に流れる水の中に模型を置き,流体現象を調べます。
船型模型,付加物付き翼模型や自動車模型等を対象とした流体力計測に加え,レーザーシート光源と高速度カメラによる模型周囲流場の可視化計測が行われます。さらに,発電デバイスや小型水車等による,新たな水流エネルギーに関する研究開発にも利用されています。
垂直循環型(2-インペラー水面加速方式)の水槽であり,流速は水面加速ローターと2軸インペラーで精度よく制御されています。
(4) 曳航電車(曳引電車)
水槽(曳航水槽)の両側に施設されたレール上を,模型を曳航して走行します。
外部信号による任意走行が可能です。さらに,計測レールの間隔を変更することができます。
(5) 副電車
主電車(曳航電車)の後部に取り付けられており(左の写真の中で印を付した部分),水槽の幅方向への移動とともに,回転運動を行います。
主電車の動きと連動させることにより,任意の平面内運動をつくることができます。
(6) 造波機
水槽(曳航水槽)の端に取り付けられた,電動プランジャー式一体型の造波機です。
海洋での波をシミュレートするための,規則波や所望のスペクトラムを持つ不規則波をつくることができます。